2025/05/17 15:00

– 火と向き合い、手作業で焼く珈琲 –

まだ焙煎機のない時代、人々はどのようにしてコーヒー豆を焼いていたのでしょうか。 
小さな鍋や鉄のフライパンに生豆を入れ、じか火にかけながら、手で絶えず混ぜ続ける。
炭火や薪の炎を見つめながら、豆がふくらみ、香ばしい香りが立ち上るのをじっと待つ。
なかには、熱した砂に豆を埋めて火を通すという、地域独自の焙煎法もあったそうです。 

どれも共通しているのは、火と向き合い、手を動かし、時間をかけて仕上げるということ。
暮らしの延長にあった、素朴で確かな営みです。 

私たちは、この昔ながらの方法を大切にしながら薪でコーヒー豆を焼いています。 
炎の揺らぎを見つめ、豆の色や音に耳を澄ませる。
香りの変化を感じ取りながら、じっくりと焙煎を進めていく。
便利な機械には頼らず、自分たちの手と感覚で焼き上げた豆を、お届けできたらと願っています。 

炎のぬくもり。立ちのぼる香り。小さくはぜる音。 
その一つひとつが、私たちの焙煎の風景です。 
そんな光景を思い浮かべながら、一杯のコーヒーを味わっていただけたら、とてもうれしいです。